久しぶりにル・クレジオについての話をした。久しぶりに山尾悠子の話をした。久しぶりに言葉の話をしたし,久しぶりに神話や宗教の話をした。妻とはいつもの話題だけど,妻以外の人間とこういう話をする機会はめっきり減って,じつに数年ぶりのことだった。不思議な感じがした。

月曜日らしい月曜日で,良くも悪くもバタバタしていた。すっかり油断していたところに急なリカバーが発生し,そのゴタゴタの中で予定していた打ち合わせが立て続けにキャンセルになった。掛け違えたボタンをひとつひとつ直していくような,そんな月曜日だった。

昼は妻と行きつけているラーメン屋で食事をした。この店のまぜそばはどれも風味絶佳を地でいく傑作揃いで食後の満足感も素晴らしい。素晴らしいのだが,いかんせん量が多い。それも昨今流行りの大盛りではなく,ちょうどお腹がはち切れる直前程度の,気持ちよく勢いで食べられる程度の量だ。これの何が問題かというと,食後に狂おしいほど眠くなる。今日も何度か気絶しかけた。

夜は妻の友人を家に招いた。かねて聞いていた断片的な話の総和からかなり特殊な人格を想像していたが,実際に会って話したらやはり特殊な人格で安心した。才気煥発,諦念と分裂,思惟で自我が煮詰まっているように見えた。魂の水分を振り絞って枯れ急いでいるようにも見えた。ある意味ではとても妻の友人らしいと思ったけれど,まったく相容れない部分も少なからずあろう,と思った。