しばらく日記を書かなかったのは単に忙しかったからだ。忙しいと書けなくなる日記というのはあまり具合が良くない。日記に期待されるのは体験を定期的に,それこそ24時間を目処にまとめ続けることで,本質的にシステマチックな運用だ。時間がないから書けない,というのは運用がまずい証だろう。

そう思い立っていかに日記に割くコストを減らせるかを考えた。僕はどうも文体に対するこだわりが抜けなくて,どんな文章を書くときも粋な表現を目指してしまう。日記でもそれをやってしまうのは運用に対して過度だと自覚はしているが、これはもう癖なのでどうしようもない。そこで、AIを壁打ち相手に使って、トピックの抽出から本文の生成までやらせてみることにした。

出来栄えは悪くない。悪くないがやはり文体が良くない。もちろんそこは下手ではない。むしろ上手い。上手いには上手いが僕よりは上手くない。いや上手くないことは問題ではない。問題は明らかに僕の文ではないことだ。そしてそれが問題になるのはやはり僕が僕の文体に対して抱くこの執心がアイデンティティと呼ぶべき強さを持っているからだろう。これだけアイデンティティを小さくまとめることに躍起になって生きてきても文体なる抽象へのこだわりから離れられないのはなかなか惨めだ。

とはいえ、ではAIとの対話的日記生成が試みとして失敗だったかというと決してそうではない。成功していると思っている。ただ、その内容をここに載せることに対しては違和感がある。ここに置く文章は誰ともしれない誰かが見るかもしれない。だから気取らずにいられない。気取らない方が難しい。だとしたら気取る方が難しい場所を用意すればいい。機械的な運用に耐えうる、自我の小さなブログをもう一つ開設しようと思う。